第4章 動き始めた気持ち、揺れる恋心~
『負けました』―
素直に負けを認めて、俯きながらはなす。
『もうどこでもさし出しますから好きにしてください!///』
信長と囲碁の勝負を初めてまだ2週間位しか経ってない。安土に来てからもうすぐ一ヶ月。
冗談で「褥にこい。」
とか言われることはあるけど…。
どうしよう…。どこを差し出せばいいんだろう…。
ドキドキしながら下を向いたまま黙り込む歌恋。
「今宵はお前の声を貰うとする。」
「えっ?///」
今なんて言った?声を貰うと言ったよね?どういうこと?
歌恋は驚き、信長の方を目を見開いて見つめた。
「お前のその声は、何故か心地よく聞こえる。だから今日からお前の声は俺のものだ。良いな。」
「わっ、分かり…まし…た…。」
信長が歌恋の顎を指ですくいあげながら話すので、声が途切れ途切れになって返事をした。
「勝負は終わったので、部屋に戻りますっ。失礼します!」
どういう表情をしたらいいか分からず、目も合わせず逃げるように飛び出していった。
「ふんっ。可愛いやつめ。」