第26章 信長様生誕祭~指令・サプライズパーティーを遂行せよ!~
天主、寝室―
「今年も羽織に新しく刺繍を入れました。でももう入れる場所無いので、そろそろ新しいの作らないとですね。」
歌恋からは10年前に作った羽織に新しい刺繍をいれ、これで着ても全く違和感のないほどだった。
二人並ぶように腰掛け、膝の上に羽織を乗せ刺繍の一つひとつに指をなぞっていく。
「随分と増えたな。毎年さりげなく変化を付けていて飽きない。流石だな。」
「いえ、これも信長様のおかげです。」
10年かけて出来上がったその羽織。着心地、デザイン、丈、どれをとっても申し分ないもの。信長にとってこれ以上のものはないと思っていた。
「だが、まだ貰ってないものがある。」
「えっ……。」
ふいに信長の大きくて少し骨ばった指で顎を掬われ、顔が近づき唇を塞がれた。
「んっ……!」
唇が離れたと同時に目を開けると真紅の色をした瞳とぶつかり、そのままベッドへと身体が倒された。
「今宵は俺の“誕生日ぷれぜんと”をこれから頂くとしよう。」
「信長様……」
「今宵たっぷりとぷれぜんとを堪能させてもらう。」