第26章 信長様生誕祭~指令・サプライズパーティーを遂行せよ!~
それからしばらくして・・・
「お父様、用意が整いましたので庭の方へ一緒に来てください。」
舞桜が襖越しに声をかけてきた。
「それと、庭に着いて合図があるまでこちらで目隠しをしてください。」
襖を少しだけそっと開け、黒い細長い布が差し出された。
「何故部屋へと入らない。」
「これはお母様からの指令ですから。」
(全く、歌恋が考える事は相変わらず俺には考えつかない事だな。)
しぶしぶ部屋の中央に胡坐をかいて座っていた信長が、その黒い布を手に取り自分で目隠しをし、舞桜に声をかけた。
「父上、庭までの案内役は結人と天音がします!」
どこから来たのか、ひょっこりと現れた双子が目隠しをした信長の手をとり、庭までの道のりを好奇心たっぷりな声で案内をしていった。
「父様?本当に見えないよね?」
「父上がそんなずるする訳ないよ!」
「この父がそのような事はせん。それよりまだ庭には着かんのか。」
「もうすぐですから、合図があるまで絶対にとっちゃダメですよ!お父様!」
子どもたちに導いて貰いようやく庭の入口へ着くと舞桜が目隠しを外すように声を掛けた。
シュルシュルと目隠しが外され、
すると・・・
「ようこそいらっしゃいました。
信長様。」
白のタキシードに黒地のノータックパンツ、首には黒地の蝶ネクタイで、さながらな高級レストランの制服のような格好をした秀吉がいつもよりもトーンを落とした声色で、声をかけてきた。