第26章 信長様生誕祭~指令・サプライズパーティーを遂行せよ!~
その頃信長と時陽は・・・
「時陽、良く見えるか。」
「うん!」
時陽を肩車し、安土城城下の音羽屋へと向かっていた。
(しかし、何故朝から歌恋や子ども達だけでなく、秀吉たちもおらんのだ・・・。全く・・・。)
ラフな格好で子どもを肩車する姿はごく普通の父親の姿にしか見えず、驚異的なカリスマ性を持ち第六天魔王と恐れられたのが遠い昔のようにも思える・・・
時陽を肩車から降ろし音羽屋へ入っていくと、まるで貸し切りのように客はだれもおらず、葉月の父親の店主、それとごく一部の店の者が出迎えた。
「これは信長様、お待ちしておりました。」
「歌恋様よりお預かりものがございますので、ただいまお持ちします。」
店主が奥の部屋に信長達を案内し、その“預かりもの”を取りに行くと・・・
「客の姿が見えんが、何か問題でもあったのか?」
明らかにいつもと様子が違う・・・そう思っていた信長が部屋に行く途中で店主に問いただしてみた。
「本日は表向きにら休みにしてます。なので店の者も少ないですし、客もいないのですよ。」
「何故だ。」
「こちらでお待ちください。今お預かりもの持ってきますので。」
あえて信長の質問をピシャリと打ち切るように部屋へと案内され、その後すぐにカタンと襖がしば閉められ店主は別の部屋にあるその“預かりもの”を取りにいった。
しばらくすると店主が黒地の風呂敷を大事そうに抱えて持って信長がいる部屋へと戻ってきた。
「こちらがお預かりものになります。」
そのまま信長の目の前にすっとその風呂敷ごと差し出され、何故か開けようとしなかった。
「開けて見せないのか」
「歌恋様より中は決して指定された場所へと着くまで見ないでくださいと伝言わ、預かっていますので。」