第25章 いつもの日常と不気味な影~愛する人は側に~
「うっ・・・」
子ども達が寝静まり、お腹の子どもの産着や子ども達の着物の手直しなどをしていたはずの歌恋の表情が歪み、お腹に手を当てうずくまりはじめた。
(やっぱり気のせいじゃ無かった…)
昼に子ども達と中庭にいる時から何となく違和感は感じていたが、治まってきたのでまだ大丈夫と思っていたが・・・
(どうしよう・・・信長様は秀吉さんと打ち合わせで居ないのに・・・。)
子ども達も寝静まり、部屋には歌恋一人。
しばらくすれば痛みが治まると思ったが一向に静まる気配は無く、痛みはさらに増していくばかり。
声をあげようにも痛みで出せずうずくまっていると・・・
「っ?!歌恋!!」
秀吉と打ち合わせの為に部屋を離れていた信長が戻るなりうずくまっている歌恋が。
「のぶ・・・な・が・・・さ・ま・・・っ」
「産気づいたのか!?待っていろ、今家康を呼んでくる。」
「はぃ・・・っ・・・」
信長は秀吉を呼び、女中に出産の準備をさせ、家康の到着を待った。
(まだか・・・家康。)
「うぅ・・・っ」
隣で痛みに必死に耐える妻の姿にどうしようもないもどかしさを感じながら、今か今かと家康の到着を待った。
信長から歌恋が産気づいたと知らされた秀吉。
「本当ですか?!それは大変です!私が家康を呼んできます!」
と家康の姿を自ら探しに行った。