第25章 いつもの日常と不気味な影~愛する人は側に~
佐助が春日山城に戻ってからしばらく経ち、時は水無月。
歌恋のお腹は今にも破裂しそうなほどに大きくなり、その日が近いのがわかるほど。
その日は久しぶりの晴天。ここ連日は天気も悪く子ども達も外に出れないため信長も時間を取り家族5人で安土城の中庭で家族団欒のひと時を過ごしていた。
「大丈夫なのですか?時間を取ってくださったのは嬉しいけど・・・」
「構わん。たまには500年後の言葉でいうなら『家族さーびす』をしなければな。」
「ふふ、信長様から現代の言葉出ると不思議な感じがします。」
縁側に座り信長にもたれかかり、子ども達の様子を見守るこの時間がとてつもなく幸せだった。
舞桜「お母様ー!見て、白いお花見つけたの!」
中庭の角の方で何かを探していた舞桜が一輪の小さな白い花を持って見せてきた。
「すごいね!中々無いお花なのにね!」
舞桜「これ、お母様に挙げる!」
「いいの?」
舞桜「うん、無事に赤ちゃんが生まれてくるようにお願いしたから!」
その言葉を聞いて歌恋は舞桜な『ありがとう』と言って思い切り抱きしめた。
信長「舞桜はお前によく似てきたな。」
ふとまた白い花を探してくるといって駆け出した舞桜の後ろ姿を見てポツリと、話し始めた。
「そうですか・・・?」
「あぁ、お前の子どもの頃は分からないが舞桜を見ていれば何となくそう思える。」
「でも、頑固な所は信長様譲りですよね?」
「いや貴様だ。」
「あと金平糖が好きなところとか。」
「あぁ、それは赤子の頃から良く食べさせてたからな。」
そのまま二人で子ども達のどこがどっちに似てるかと話を続け、それをそっと後から見ていた秀吉は感慨深い思いでいた。