第25章 いつもの日常と不気味な影~愛する人は側に~
幸村からしばらくして佐助宛に文が届き、とりあえず膠着状態のため一度春日山城に戻るという旨、家臣が宿屋に潜入して様子を見続けると。
その文を信長に報告し、佐助は一度春日山城に戻ることにした。
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「そっか・・・佐助くん帰るんだね。」
「うん。謙信様1人にしておけないし、しばらくは膠着状態だから。」
安土城の中庭を見渡せる縁側で座って話をする二人の視線の先には、天音と結人の姿。
佐助に作ってもらった玩具で楽しげに遊ぶ子ども達を見つめる歌恋の表情はどこか曇っていた…。
「大丈夫。信長様達がなんとかしてくれる。歌恋さんは今まで通りにしてれば問題無い。」
「うん、そうだね。ありがとう、謙信様達にもよろしく伝えて。」
「あぁ、子ども生まれて落ち着いたら今度は謙信様と来るよ。」
佐助が天音と結人に声をかけ、話し終わるとそのまま安土城の天井裏から姿を消した。