第25章 いつもの日常と不気味な影~愛する人は側に~
その頃家康は薬草を取りに行き、戻ってきたところだった。
(ん?なんか城が騒がしいけど・・・)
すると城の出入り口で真っ青な顔で家康の元にやってきた。
「家康ー!!大変だー!!」
珍しく走って駆け寄る秀吉に一瞬身体を後ろに引くも、結局肩をがっしり捕まれ思い切り身体を揺らされた。
「なんですか・・・。いきなり。」
(秀吉さんがこれだけ焦ってるんだから信長様絡みか何かだろうな。)
「歌恋が・・・、歌恋が・・・!!はぁ、はぁ、はぁ・・・」
続きも言おうとするも息が切れてうまく話せず、家康の肩をつかんたままなんとか息を整えるとようやくいうことが出来た。
「歌恋が倒れたんだ!今朝もあまり食事取れてなかったみたいだし、早く診てくれ!」
「わかりました、わかりましたからその手を離して貰えますか?」
「頼んだぞ。俺はこのまま信長様に伝えに・・・。」
「はぁ?秀吉さんが留守任されてるのに呼びに行くのは・・・」
「そうか・・・、なら家臣に伝言してくるから早く診てくれ!信長様の留守に歌恋に何かあっては・・・!」
「わかりましたよ。」
家康はとりあえず薬草を部屋に置いていつもの道具を持って歌恋の部屋に向かった。
「これは・・・、家康様・・・。」
女中頭が歌恋のそばに付き、表では女中が家康の到着を待っていた。
「歌恋が倒れたって聞いたから、入るよ。」
「はい・・・。」
女中がスっと襖を開けると家康が来たことを中の女中頭に伝えた。