第25章 いつもの日常と不気味な影~愛する人は側に~
ふと立ち上がった瞬間・・・
『きゃー!歌恋様ー!?』
(あれ・・・なんか・・・ふらふらする・・・)
歌恋が立ち上がった瞬間、そのまま倒れ込むようにその場に崩れお針子達が一斉に叫び声を上げた。
その声を聞いて、歌恋に用がある為たまたまお針子の部屋の近くまで来ていた秀吉が、その声を聞いて慌てて来ると戸の側にいたお針子が秀吉の姿を見て姿勢を低くした。
「どうした!?」
「あっ秀吉様!、歌恋様が・・・歌恋様が・・・!」
お針子の慌てふためく様子を見て、そして聞こえた言葉でただならぬ空気を感じ、少し目線を奥へとやると青い顔で横たわる歌恋の姿を見つけ思わず
『歌恋!!どうしたんだ?!しっかりしろ!』
と声を掛けるも反応が無く、そのまま横抱きにし天主へと向かった。
あまりに一瞬の出来事でお針子達は呆気に取られた。
秀吉が一目散で天主に行き、ベッドに寝かせると、女中に着替えなどを任せ慌てて家康を探しに行った。
「家康ー!どこだー!」
城中の戸という戸を開けて、一心不乱に家康を探していると・・・
三成がその声に気付き、舞桜に『ちょっとお待ちくださいね。』とにこやかに声をかけ、部屋を出ると慌てふためく秀吉の姿が見えた。
「秀吉様?!そんなに慌ててどうなさったのですか?」
慌てて探し回る秀吉と落ち着いた三成、対照的な二人。
秀吉は三成に家康の所在を聞いてみると・・・
「家康様なら確か登城されてすぐに、薬草が足りないとかで出かけられました!」
にっこりと笑って答えた。