第25章 いつもの日常と不気味な影~愛する人は側に~
ブツブツ言う家康を見て信長は深刻ではなさそうだと判断するも、華恋から聞くまで心穏やかではなかった信長。
部屋の奥へと行き、ベッドで寝ている歌恋の側へと向かった。
「信長様・・・?今日は視察でお戻りにならないんじゃ・・・?」
「歌恋!どこが具合悪いのだ、家康に聞いてもあやつはお前に聞けとしか言わん。」
「ふふふ、また秀吉さんが大袈裟にお伝えしたんですね。」
「どこも悪く無いのか・・・?」
信長が腑抜けたような顔で見つめ、歌恋はおかしくてたまらなく、笑いをこらえるのが必死だった。
「なにがおかしい。」
「ごめんなさい・・・あまりにも信長様が必死だから。」
笑うのを止め、ふーと息を吐くと、優しく微笑みお腹に手を当てて信長の方を見つめた。
「まさか・・・?」
「はい、そのまさかです。」
「いつ頃だ。」
「はっきりとした日にちはわかりませんが
6月頃だと・・・わぁっ?!」
歌恋のその話を聞き終わる前に思い切り抱きしめ、最初は驚いた歌恋も信長の耳元で囁いた。
『また一つ宝物を授けて下さってありがとうございます。』と。