第3章 武将達のそれぞれの思い…と久しぶりの再会
「きっと信長様も気に入られると思いますよ。」
そう三成が優しく笑顔で褒めて?くれたおかげで少しは自信が持てた。
本当は夕餉の後で見せに行こうと思っていた羽織だが、三成の提案で夕餉の時に皆に見せた方がいいといわれ、持っていった。
「信長様、気に入って下さるかな…。」
織田家ゆかりの姫ということでお針子達が、お世辞を言ってるかもしれない。三成はいつも大袈裟に褒めて暮れるから少しだけ不安だった。
そして広間に入ると、信長は先に徳利をもってお酒を飲み始めていた。
「歌恋、遅かったではないか。」
信長が入ってきた歌恋を見て声を掛ける。
「申し訳ありません。信長様。私が歌恋様と話をしながら歩いたので、ゆっくりになってしまいました。」
「んっ?なんだ。その羽織か?持ってるものは?」
政宗が歌恋の持ってるものに気付いた。
「信長様、お針子さん達に聞いて、羽織を直して見ました。今日の今日で何か作るのも思い浮かばず、羽織の直しがまだだと聞いて、お手伝いを申し出ました。」
「ほう。それをよこしてみろ。」
信長がニヤリと笑って体勢を立て直した。
「はい。」
歌恋は緊張しながら信長にその羽織を渡した。
(信長様、気に入って下さるかな…。)
バサっー
「ほう、中々の着心地になった。」
「んっ?こんな所に鷹など描いてあったか。」
信長が気づき訪ねた。
「いえ、肩から襟元に信長様に合うと思って、新たに鷹の刺繍を施して見ました。」
「イヤだったら解きますので…っ。」
緊張して、一息に喋ったので最後の方は掠れてしまったが、信長にはしっかりと聞こえたらしく。
「いや、その逆だ。かなり気に入った。これからは城にいる間はこれを着るとしよう。」
「本当ですか?!」
「嘘を言ってどうする。」
「俺は嘘など言わぬ。」
「ありがとうございます!」
歌恋の顔がぱっと明るくなり、本当に嬉しそうな顔で信長を見た。
「へぇー歌恋が直したのか。今度俺のもなおして貰えるか?」
政宗が信長の着ている羽織と、歌恋を交互に見ながら言う。
「私で良ければいつでも直すよ!」
「お城のお針子さん達みたいに上手に出来るか分からないけど、昔着物も仕立てたことあるんだ~。」