第3章 武将達のそれぞれの思い…と久しぶりの再会
歌恋が信長の羽織を直し終えたのは日もすっかり暮れ、夕餉の用意が整ったと三成が知らせに来る直前のことだった。
「できた!」
昼餉もほとんど食べず、無心で直し始めた。
お針子達に信長の裾の長さを聞き、刺繍は同じ色の糸が無かったが、ちょうどいい他の色の糸で刺繍を施した。
襟元に何も柄が無く、何故かわからないがそこに白と銀の糸で鷹の刺繍を施した。
お針子達にも見てもらい、問題ないか確認し、久しぶりにここまで無心で仕事したことに心地よい疲れを感じていた。
「歌恋様、すごく素敵な羽織になりましたね!」
「あれだけの作業をおひとりで、しかも一日もかからず仕上げてしまうとは!」
「歌恋に教えて頂きたいです!」
「私も是非そうしたいです!」
「えっ?そんなに…すごいかなぁ。」
お針子達が尊敬の眼差しでこちらを見つめて迫っていた。
「もう少し時間と、糸があれば細かい刺繍とかも出来るんだけど…、でもこれだけそろってるのも中中すごいね!」
「はいっ。ここは安土城ですから、南蛮からの品だったりも献上される所ですから。」
「それに、信長様は私達お針子達にもそれぞれ城の中に部屋を与えて下さって、道具も不自由なく使えるように整えて下さってるので私達はこうやって仕事が出来るんです。」
「へぇ~、信長様ってすごいなぁー。」
(今で言う社員寮に食堂付きみたいなものかな?)
その時三成が夕餉の時間だと知らせに来た。
「何を楽しそうにお話をされていたのですか?」
お針子達は三成が来て頭を下げた。
「頭を上げてください。」
「あっ三成くん!信長様の羽織を直したのをお針子さん達に見てもらっていたの!」
「後で見せに行っても大丈夫かなー?」
イキイキとした表情で、直した羽織を抱きしめ三成と話し始めた。
「そうだったのですね。きっと信長様も気に入られると思いますよ。」
優しい表情で歌恋を見つめる三成。
お針子達は「あぁ三成様にあのようなお顔をさせるなんて、、、やっぱり歌恋様は素敵な女性だわ///」
と内心皆が思っていた。