第24章 トリックオアトリート〜魔王が本物の魔王になった?!
【信長】side
「失礼しますー」
部屋に向かい、一人で待っていると聞きなれた声が襖の外から聞こえた。
信長「歌恋か・・・入れ。」
「信長様のお着替えは私がお手伝いさせて頂きますね。」
信長「一体どのような物を着せようとしているのだ・・・。」
「ふふ、それは着てからのお楽しみです!」
それから信長は時々顰め面になりながらも自分の身体に合わせて作ったであろうその衣装を着ていった。
信長「全く測りもせずよくここまで丁度良く作れるな。」
「それは・・・、信長様の妻だからですよ。今まで何度も作ってきましたから・・・はい、これに袖を通して下さい。」
信長「全く・・・そうだな。お前の作る着物は着心地が本当に良い。」
「ありがとうございます。信長様の事なら秀吉さんの次に色々分かってるつもりですから。」
信長「ふん、むしろ秀吉よりも知ってるかもな。」
「まぁ、信長様の妻になってもう時期10年ですから。色々と・・・」
信長「所で歌恋、これは着物では無く何というのだ。」
「これは着物では無く衣装、洋服とは同じようなものですが、普段着るものではありませんよ。はい、これを付けてと!」
ようやく着せ終わった歌恋は全体を見回して念入りにおかしい所は無いかチェックをし・・・
「終わりましたよ。信長様。」
信長の仮装はいわゆる大魔王様がモチーフ。大きく首元にかかる襟付きの黒のマントに、大きな帽子に、赤と黒と白の色しか無いその衣装は本物に近いのでは無いかと思うほどで。
「やっぱりすごい・・・。」
信長「何がだ・・・」
「本当に良い意味でぴったりだし、それで居てあまり恐ろしく無さそうな感じ。ヴァンパイア風になっちゃったけど・・・。」
牙まで付けると流石に子ども達がびっくりして泣くかもしれないからと格好だけでもと魔王とヴァンパイアの間の仮装になった。
信長「歌恋はしないのか?」
「私の分は用意してませんよ。子ども達の事をやらなきゃいけませんから。」
「あと、お菓子は各部屋に置いてありますからね。子ども達が来てお菓子を貰って、役目が終わったら宴が行われる広間に来てくださいね。」
信長の支度が終わると子ども達の準備をするからと部屋を後にした。