第22章 歴史は繋がれていく~新しい生命と日常~
背中に布団を丸めたものをあて、身体をようやく起こしていられる状態の歌恋。
「早く起きれるようにならないとだね。」
「あまり無理はしないでよね。なんかあったら俺の仕事が増えるだけだから。」
「分かってますー」
温かいお粥や汁物を飲みながら家康と他愛も無い話をする。
(家康め・・・、楽しそうに話しおって。)
襖の向こう側で宴から抜けてきた信長が二人の会話を聞いていた。
「じゃ、俺はまた戻らなきゃ行けないから。」
「うん、ありがとう!」
家康が立ち上がると同時に信長が入ってきた。
「信長様?もう宴は終わったのですか?」
「あとは秀吉に任せて先に上がってきた。」
「大丈夫なんですか?信長様が居なくて・・・」
「宴など、俺がいなくてももう良い。それよりもあまり食事が進んで居ないのは何故た。」
家康はそそくさとその場を離れていった。
「食べられないなら俺が食べさせてやるぞ。」
「そんな・・・!、大丈夫ですよ………自分で食べますから・・・あっ、」
歌恋が言い終わら無いうちに持っていた匙が手から滑り落ちた。
「出来ないでは無いか。無理はするな。」
「はい・・・。」
結局、信長に食べさせてもらう形になり、歌恋は嬉しいような恥ずかしいような何とも言えない気持ちだった。
「ここに米粒が付いている。」
「えっ?どこですか・・・」
「ここだ・・・」
「んっ・・・!」
歌恋が手でご飯粒を取ろうとすると手を握られそのまま口付けをされた。
「信長様・・・もう、いきなり口付けをするなんてびっくりするじゃないですか…!」
「ふん。やっといつもの顔に戻ったな。」
「えっ?」
「目が覚めてからと言うもの、自由の聞かぬ身体のせいでお前が沈んでいたからな。子ども達も心配していた…。お前はどんな時でも笑った顔を見せているのだ。でなければ、子ども達も不安になる。」
「信長様・・・」
(信長様には何でもお見通しなんだな・・・。確かに身体の自由聞かないことでちょっと焦ってたけど…)
「本当ならば今すぐお前を抱きたいところだが、身体は万全出ない。それなら口付けをして我慢してやる。早く良くなるのだぞ、歌恋。」
「はい・・・んっ・・・」
その夜は何度も何度も口付けを交わしあった。