第22章 歴史は繋がれていく~新しい生命と日常~
大の男が皆涙や鼻水でぐしょぐしょになりながら歌恋に声をかけ続けた。
すると時々歌恋が聞こえるか聞こえないかのか細い声で何かを喋ろうとしているのが聞こえた。
全員声をかけるのをやめ、歌恋を見つめた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・が・・・・・・・・・さ・・・・・・・・・・・・・・・ま」
「歌恋!俺はここにいる。目を開けろ!」
「・・・・・・・・・ど・・・・・・・・・・・・こ・・・・・・・・・」
「の・・・・・・・・・・・・ぶ・・・・・・・・・な・・・・・・が・・・・・・・・・さ・・・・・・・・・ま・・・」
「ここだ。お前の傍にいるぞ。」
信長が手を握りしめ、自分の口元へと寄せ、必死に自分の存在を訴えかける。
その顔は第六天魔王でも、天下布武をなした武将の顔でもなく、“歌恋”という1人の女性を愛してる男“織田信長”の顔だった。
「い・・・・・・・・・え・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・す・・・・・・」
「・・・・・・・・・よ・・・・・・・・・し・・・・・・さ・・・・・・」
「・・・・・・さ・・・・・・ぅ・・・・・・・・・・・・・・・ね」
「・・・・・・・・・つ・・・・・・・・・ひ・・・・・・・・・で・・・・・・・・・・・・さ・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・つ・・・・・・・・・な・・・・・・・・・・・・・・・・・・り・・・・・・く・・・・・・」
歌恋も聞こえてきた武将の声の主の名前を呼ぼうとするも、うわ言のようになってしまい聞き取りづらい。
それでも武将達は必死に声を掛け、目を覚ますのを待ち続けた。
「歌恋。みんなおるのだ。早く目を開けろ…」
信長が強く歌恋の手を握ると握り返そうとし、抱き抱えか身体を少し起こすと・・・
「・・・・・・の・・・ぶ・・・な・・・がさ・・・ま」
歌恋が目を覚まし、信長の顔を見て安心したかのようにふわっと笑った。