第22章 歴史は繋がれていく~新しい生命と日常~
定期的に水を飲ませ、身体を温め、ひたすら声を掛け、まるで縋る様な思いだった。
そして朝、家康が様子を見に来た。
「信長様?」
寝てるだろうと思って部屋に入ると、本当に一睡もせず、手足を擦り温め続けていた。
「家康か・・・。」
信長は時間も忘れて必死に歌恋が目を覚ますようにとできる限りの事をしていた。
「どうだ?歌恋は。」
「昨日の晩よりも顔色も戻ってますし、手足の冷たさも無くなってきてる。心の臓も昨日よりは悪くはなって無いです…」
「そうか・・・。」
(本当にこの人は一睡もせず、しかも他人の為に自分が何かやるなんて姿初めて見た。)
「とりあえずこの薬を飲ませてあげてください。」
「分かった。」
「それと、信長様も寝たほうが良いですよ。ひどい顔してるんで・・・」
「いや、もう少し起きてる。」
「身体温めるなら褥で一緒に寝るのが一番何でしょ。」
「なんだと?この時に!」
「隣りで信長様が寝れば、信長様の体温が歌恋に伝わって、もしかしたら早く目を覚ますかも知れませんよ。」
「ふん、なら最初からそう言え。」
家康は苦笑いしながらも、少しは快報に向かってるであろう歌恋の姿に安心した。
出る間際、家康は他の武将達の様子を独り言のように話した。
「あっ、政宗さん、歌恋が起きたら食べれるようにってお粥作ってましたよ。秀吉さんは天主へ繋がる廊下の前でずっと待ってるみたいだし、光秀さんは三成と行商人を捕まえて色々聞き出してるみたいですよ。」
長い独り言を話して家康は部屋の襖を閉めた。
子ども達は秀吉の御殿へ預けられ、舞桜は不安な夜をすごすだろうからと葉月が傍で添い寝してくれたと聞いた。
(こんなにもお前は愛されているのだぞ・・・、俺よりも先に死ぬなど許さないからな。)
歌恋が寝てる布団へ信長の大きな羽織りを掛け、寝てる隣に入り、腕を伸ばし身体を出来るだけくっ付けた。