第22章 歴史は繋がれていく~新しい生命と日常~
毒に侵されて、心ノ臓がかなり弱ってます…」
「なんだと?!」
信長は家康の胸ぐらをつかんでグラグラ揺らすも、家康は表情一つ変えなかった。
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「助かるのだろうな・・・?」
「光秀さんに毒の種類聞いたんで、それに合う薬を調合して飲ませれば・・・」
信長は今にも生命の灯火が消えそうな歌恋の身体を抱き抱え、何とも言えない苦しげな表情をしていた、
「家康!とりあえず水持ってきたぞ!こっちが飲み水、こっちが飲み水じゃない方だ。」
政宗が桶に水をたくさん入れ、途中で秀吉と遭遇し、秀吉に飲み水を持たせてきた。
「まずは水を飲ませて毒の成分を薄めるんです。口移しで飲ませてあげてください。」
「分かった。」
信長は一旦歌恋を褥に寝かせ、水を口に含むとそのまま歌恋の口へと水を移した。
条件反射なのか歌恋はその水を飲み込んだ。
「歌恋・・・」
額から髪を掬い今にも泣きそうな信長は自分が傍にいながら気づいてやれなかった事を心の中で歌恋に謝った。
(気づいてやれず、こんな苦しい思いをさせてすまない・・・)
「明日の夜までに目が覚めなければ・・・、
恐らく・・・、恐らく二度と目を覚ますことは無いかも知れません・・・」
家康が苦しげに信長に伝えた。
「分かった。」
たった一言返事をし、二人にしてほしいと頼み人払いをした。
(必ず、必ず・・・目を覚ますのだぞ…歌恋。)
その晩、信長は寝ずの看病をした。秀吉が交代で看病するから少しは休んでほしいと言われても断った。
それは、愛する歌恋が目を覚ました時に自分が側に居たい、生きてると実感したいと思ったから。
定期的に水を飲ませ、身体を温め、ひたすら声を掛け、まるで縋る様な思いだった。