第22章 歴史は繋がれていく~新しい生命と日常~
二人で城へもどる途中、行商で並んでいた紅に惹かれ足を止めた。
貝殻に入った淡い桃色がかった紅。特殊な粉を混ぜてあるというその紅はまるでラメが入ったようにキラキラ輝いていた。
「綺麗・・・」
一瞬で目を奪われたのは言うまでもなかった・・・
行商人「やはり目を奪われましたか・・・、これは南蛮より来たものから仕入れた物。そんなに数が無くてね…これしかもう残って無いんだがね…」
行商人は少し年齢がいった男で、頭に巻き付けた布で顔があまり見えない。
「すごく綺麗ですね。しかもキラキラしてる!」
「ええ、これはとある貝殻を削った粉を混ぜているので光っているらしいですよ。」
夢中になって紅を見つめている歌恋をよそに、三成は行商人を疑うような目で見ていた。
「もし宜しければ最後の一つだからお安くしますよ。」
「歌恋様、なんか怪しいですよ。」
「本当ですか?丁度紅がほしかったんです!ありがとうございます!」
三成の心配をよそに歌恋は嬉しそうにその紅を手に取った。
「宜しければ今付けていかれますか…、鏡もありますよ。」
「いいんですか?」
鏡を見ながら紅をさし、うっすら桃色に色づき濡れたような唇に三成 は息を呑んだ、
「すごい・・・素敵・・・」
紅をさしたまま城へ戻った歌恋はその後から何となく体調の変化に気づいた。
「ねぇ、三成くん・・・」
三成「どうされたのですか?」
「なんか寒くなってきてない?」
三成「いえ、今日は師走の割に陽も出て暖かいほうかと・・・」
「そっか・・・、そうだよね。ごめんね、変な事聞いちゃって」
そのまま城へ戻り少し部屋で休む事にした。
(買い物で疲れただけだよね…、少し休めば治るかな?家康に薬もらう程じゃないし・・・)
まさか、自分の身体がどんどん衰弱しているとは思いもしなかった。