第3章 武将達のそれぞれの思い…と久しぶりの再会
家康さんのお部屋は私の充てられた部屋から廊下をひたすらに反対側に進めばいいだけ。
三成くんが連れて行ってくれると話したが、さすがの私でも反対側に進んで、角を曲がった先の少し他よりも広めのお部屋。
「あった!ここの部屋だ!」
「家康さん、歌恋です。」
(きた。やっぱり歌恋がくるとすぐ分かる。)
「入ってくれば。」
素っ気ない返事が返される。
「失礼します」そっと部屋の扉を開ける。
家康は机に向かって薬の調合らしき仕事をしている。
「傷見せなよ。この薬今日も塗っておけば痕も残らないし。」
腕の傷は大したこと無かったが、足の傷は思ったよりも深かった。
それでも当の本人は気にしてなさそう。と言うか鈍いだけ?
(まぁ、本人が気にしてないなら良いけど。)
家康さんは傷の手当てを素っ気ない言葉とは反対に、優しく丁寧にしてくれている。
腕の傷は大したこと無いって言ってた。足は『痛み感じないの?鈍すぎでしょ。』って言われたけど、この位の傷どうってこと無いって。
子どもの頃、両親が事故で亡くなった後そのまま京都の家で育てられた。
両親がいた時は横浜の都会のマンションだったから、京都の家に来ると、広い庭に自然がたくさんあってある意味楽しいテーマパーク位に思ってた。
だから木登りや高い所から飛び降りて傷をよく作ってはおばあ様に怒られたり、お手伝いさん達に心配掛けたりとしてたからなんとも思ってなかったし…。
でも、ちょっと家康さんのこんな優しさも見られてある意味ラッキー?とか思ってみたり。
ここに来てまだ3日だけど、日毎に武将達の色々な姿を見れてちょっと楽しんでいた。
でも、歌恋自身は武将達が少しずつ歌恋の事を意識し始めてるとは分かっていなかった。
多分分かるようになるのはもう少し先のこと。