第22章 歴史は繋がれていく~新しい生命と日常~
宴が始まってしばらくすると秀吉が心配声を掛けてきた。
「全く・・・、あくまでも歌恋は信長様の正妻だぞ?なにもあんな風に挨拶なんかしなくても良かったんだぞ?」
「でも、挨拶くらいはちゃんとしたいし!」
(全く・・・正妻の方が立場は断然上。あれじゃ言いくるめられるぞ・・・)
秀吉は心配だったが、その後の信長の姿を見てその不安は一時的に薄れた。
「かあしゃま・・・ねむ・・・い」
「ははうぇ・・・ねむ・・・い」
天音と結人が眠たそうに目をこする。
「そっか・・・もうそんな時間か、じゃお部屋に戻って寝ようね?」
双子の頭を優しく撫でてあげ“ちょっと待っててね”と声を掛けた。
「信長様、子ども達と天主へと戻っても大丈夫ですか?」
「それなら俺も子ども達と一緒に戻る。1人では大変だろうからな。」
信長はあえて千姫に見せつけるように言った。
そして宴は秀吉にあとは任せて子ども達と一緒に信長、歌恋は戻った。
天主へと戻り子ども達を二人で寝かしつけ子ども達の寝顔を見ながら歌恋は信長に寄りかかりながら尋ねた。
「信長様?よかったんですか・・・最後まであの場に居なくて。」
「構わん。」
「千姫様、信長様の事を昔から知っているような事を話してましたね。」
「あぁ、幼少の時から何度かあの屋敷には行った」
「そうなんですね。」
寝ている子ども達の顔を撫でながら話を続ける。
「千姫様、信長様に振り向いてもらえなくてちょっと不服そうでしたね…」
「当たり前だ。妾などいらんと言ってるのに勝手にいるだけだからな。」
信長は本当に不服そうな顔をしていた。
「でも、宴を開いて挙げる所はやっぱり信長様は優しい人ですね。」
「なんだ嫉妬しているのか?」
「はい・・・少しだけ。」
「ならば今宵もお前を甘やかすとするか・・・」
「えっ?」
信長と歌恋はその夜も甘い夜を過ごし、信長はこれでもかと言うくらいに歌恋を甘やかした。