第22章 歴史は繋がれていく~新しい生命と日常~
信長は一目散に天主に向かった。
「歌恋入るぞ。」
言い終わらないうちに無言で足音を響かせながら入ってきた。
部屋に入ると褥で横になっている歌恋の姿があった。
(少し見ないうちにまた痩せたのでは無いか・・・)
そんな事を思いながら歌恋の横に座った。
「歌恋・・・、子を宿したと聞いたが・・・。」
「はい・・・。恐らく信長様のお誕生日頃だと言われました。」
「なぜ文をよこさん。なにかあれば文で知らせろと言ったはずだ・・・。」
「文じゃ無くて、直接お伝えしたかったんです・・・。」
「秀吉さんには私から言うから黙っていて欲しいってお願いしたのに・・・」
「お前が出迎えに来ないから問い詰めた迄だ・・・、」
「ふふ、きっと『言わないのなら斬るぞ!』とでも言って秀吉さん困らせたんですか?」
「っ・・・、なぜ分かる」
「分かりますよ・・・、信長様の事だもの・・・」
「お前はそう言ってまた可愛いらしいことを・・・」
「歌恋・・・起きてる?入るよ。」
二人の会話がひとしきり落ち着いた頃に家康が様子を見に来た。
「お帰りなさい。信長様。戻ってきたたんですね。」
「当たり前だ。家康、歌恋はどうなんだ?」
「いきなり帰ってきて早々なんですか?」
家康が一瞬で機嫌悪そうな表情に変わった。