第19章 番外編~秀吉の恋模様~
その都度必ずと言っていいほど、葉月がお茶を持ってきてくれ、何度通ううちに見送りの時に軽く話をするくらいになった。
葉月「秀吉様はこちらの柄の方が良いかも知れませんね。」
幾つか柄の見本を見せてきた。
祝言の時に着る武将達の着物も秀吉が任され、
それぞれの家紋を入れつつも、信長様や歌恋を引き立たせるように・・・
そんな事を吉に相談した所、娘の葉月が仕立てるので直接葉月と相談してはどうかとなった。
最初は吉右衛門も同席していたが、次第に吉右衛門が居ない時間、時も多くなってきた。
秀吉「信長様の晴れ着は凛として、それでいて立派な物がいいと思うが・・・」
葉月「信長様は背中に大きく刺繍を施して、所々に金の糸を使ったらいかがですか?」
秀吉「そうだな。そんな感じで仕立ててくれるか。」
葉月「分かりました。」
いつの間にか、時間を忘れるくらい話に夢中になることもあった。
秀吉の中で葉月の存在は少しずつ変わり始めて、音羽屋に行くのが楽しみになっていた。