第18章 新たな生命の誕生~幸せな日常~
次の日の朝、家康が子どもと歌恋の様子を見に来た。
お乳がよく出るようにと薬草を煎じて持ってきてくれた。
「しばらくの間はちゃんと床にいなよね。」そう行って身体を気遣ってくれた。
信長に姫君が産まれたと聞き、あちらこちらからお祝いの挨拶や品が届いた。
まだ産まれたばかりの舞桜に自分の子どもと許嫁になってほしいと申し出るものまでいた。
信長はわが子会いたさに、秀吉に内緒でこっそり舞桜に会いに来た。
「舞桜~父様が来たぞ~、」
「信長様?もう政務は終えられたのですか?」
舞桜にお乳を挙げていた歌恋が信長に聞いた。
「舞桜に会いに来たくてきたのだ。くだらない挨拶を聞いてるくらいなら、舞桜を見ていた方がマシだ、」
と、信長はとっても真剣に語っていた。
「ふふふ、いけない父様ですね~。」
歌恋は笑いながら舞桜に話しかけた。
「なんだと?」
「でも幸せです。こうやって会いに来て下さるのだから。」
すると外から秀吉が信長を探す声が聞こえた。
「お館様~!」
「ふん、もうきおったか、猿め。」
「あんまり秀吉さんを困らせないで下さいね。」
「ふん、仕方ない。また来るぞ歌恋。」
「お館様、こちらに、おりましたか…、もう勝手に抜け出さないでくださいね!」
秀吉はささっと背中を押すように信長を広間へと戻した。
そんな事を、知ってか知らずかお乳を飲み終わると歌恋の腕の中で眠りに付いた。
そんなやり取りがしばらく続いた。