第18章 新たな生命の誕生~幸せな日常~
卯月の終わり頃
開花が遅れていた桜が咲、満開になって散り始める木もあった。
「もうすぐ信長様の誕生日、早く仕上げないと。」
新しい羽織を作ろうと前から決めていた。
予定日は五月頭。もうそろそろ産まれてきてもおかしくない。
だからこそ、余計に羽織を早く仕上げようと集中していた。
信長は今日は大名達と花見をするとかで、安土城から少し離れた所へ行っている。だからこそ今日のうちに仕上げたかった。
「んー、なんか今日はお腹張るな…」
時より縫い物をしながらもお腹をさする。
その感覚がだんだんと短くなっていた。
「歌恋いる?」
家康が様子を見に来た。信長と秀吉から今日は城を離れるから歌恋の様子を見に行ってやって欲しいと。
「うぅっ・・・」
返事が無いため天主に入ると歌恋がお腹を抑えながら痛みを堪えていた。
「歌恋…!」
汗が滲む歌恋の様子を見てその時が来たと分かった。
そして、その知らせは信長にも届き、すぐに城へと戻った。