第18章 新たな生命の誕生~幸せな日常~
安土城から離れた所にいた信長にも報せが届き、慌てて城へと戻った。
「歌恋ー!!」
天主に向かう廊下をものすごい勢いで走りながら、愛しい妻の名前を呼ぶ信長。
天主の部屋の襖の前で女中に止められた。
「俺を中へ入れろ!」
「なりません!」
女中頭が部屋の前に座り何が何でも信長を入れようとしなかった。
「あ゛ぁぁぁー!、い゛た゛ーい゛」
中から歌恋の声が聞こえ信長がいてもたってもいられずに立ち上がる。
「歌恋は大丈夫なのか!」
心配でたまらない信長は廊下を行ったり来たり・・・。
すると女中頭が呼ばれて中に入った。
それからすぐ信長が部屋に呼ばれた。
「本来であれば入ることはなりませんが、奥方様の願いとなれば私も叶えない理由にはいきませんから。」
そう言って通してくれた。
布団を丸めて抱き枕のようにし、痛みを堪えている。
「歌恋・・・大丈夫か?」
信長はそっと触れた。
中には家康が、何かあれば直ぐに対応できるようにと居た。
それから信長は、痛みで叫ぶ歌恋の腰や手を握ったりしながら側について支えていた、
「う゛ぅぅ・・・」
「歌恋俺が付いているからな、後少しだ。」
信長に抱きつくような体勢でいきみ、信長もいきむ度に声を掛け、時々叫ぶような声をあげるとオロオロしたりと家康や女中達からすれば初めて見るその姿に唖然としていた。