第16章 届けこの思い~幸せはすぐそこに~
いよいよ恐らくワームホールが現れると思われる前日、歌恋は祖父母と一日思い出作りをした。
少し早い誕生日プレゼントにと産まれてくる子どもの晴れ着用の反物を貰い、あの時みた代々伝わる着物にハナミズキの刺繍を新しく施された1式を渡された。
そしてそれを着て写真を撮り、一枚は歌恋が、一枚は京都のお店に飾られた。
その日の夜。
「おじい様、おばあ様、今まで私を育てて下さりありがとうございました。明日もし戻れたら私は戦国時代の織田信長の元へ行きます。こんなにも良くしてくださったのに産まれてくる子どもを見せることも出来ない親不孝な私を許してください。」
ーきっと織田信長に会うこと、恋したのも運命だとー
「歌恋、私達はお前が幸せになれるなら例えあえなくなってもそれは私達の幸せでもあるんだよ。孫娘の幸せを願わない祖父母なんて、いないからね。」
「幸せになりなさい…歌恋。子どもを育てていくのにきっと大変だと思う。時代が違うから価値観も違う。だけど、信長様と二人で支えあって、二人らしく育てて行きなさい!」
「おじい様・・・、おばあ様・・・」
歌恋はこんなにも二人に愛されているのにこの2人を置いていくなんて心苦しかった・・・。
必ず二人に何かしらの方法で恩を返しますと決意してその日は三人で川の字で寝た。
「信長様・・・、もうすぐ会えると信じています。あなたにあえない間私もずっとあなたの事を思っていました…。帰ったらあなたをたくさん感じさせて下さい・・・」
そう呟いて眠りについた。