第15章 叶わぬ思い~離れていてもあなたを愛しています~京都編②
この着物にはもう一つの言い伝えがあったー
それは、これを着る者を現す花を一つ刺繍する事。
この着物を作った舞花は娘がお嫁に行く時にこの着物を着せたとされ、それには新しく刺繍が加えられていた。
娘に「貴女の娘がお嫁に行く時には新しく刺繍を入れて、終わることの無い着物として受け継いで言って欲しい」と残したそうな・・・
「素敵な話だね・・・私もそんな素敵な物作れるかな…。」
「大丈夫よ。あなたは私達の自慢の孫娘だもの。」
そうして歌恋の花はハナミズキになった。
ハナミズキの花言葉は【永続性」「返礼」「私の想いを受けてください】
まさにこの着物と歌恋、それを贈る祖父母にも合うものだった。
そして、後で祖母から聞いた。
その年の春は早く、庭にいつもより早くハナミズキが咲き、その日に歌恋が産まれたと・・・