第15章 叶わぬ思い~離れていてもあなたを愛しています~京都編②
歌恋がお腹をおさえて倒れた時の事。
〈信長視点〉
今日はやたらと胸騒ぎがしていた。
今までこんな事は無かった…。
久しぶりに天主で政務をこなす。
その時ふと手が止まった。
「助けて・・・」と聞こえた気がした。
その声は紛れもない歌恋だった。
歌恋お前は今頃何をしている・・・。無事でいるのか・・・。
子は大丈夫か?
もしかしたら記憶を無くしてる可能性もあると佐助から言われそれだけは考えないようにしていた。
政務の傍ら『らぶれたー』なるものを書いては安土城のあちらこちらに隠した。
火に巻かれても燃えないような場所を選んだ。
未来に遺る物をと色々試行錯誤したが、これが、一番喜ぶだろうと思った。
時には秀吉に預けたりもした。
俺の後を継がせるのは秀吉しかおらん。
久しぶりに京へ行く用があり、本能寺があった場所に1通の文を埋めた。
「俺はいつまでもお前を待っていると、そして、生涯愛する女は歌恋だけだ」と。