第15章 叶わぬ思い~離れていてもあなたを愛しています~京都編②
「ごめんなさい・・・、二人を悲しませる事だと分かっているの・・・でも、あの方が居ない現代で一生を終えるなんて嫌なの!」
歌恋も祖父母も涙がとめどなく溢れ、抱き合った…
「歌恋の気持ちは痛いほど分かっているよ。この二ヶ月、頑なに言わないでいたのは信長や子どもを守る為だろう?私達はうすうす感じていたんだよ…また歌恋がどこかへ行ってしまうと・・・」
「おじいさま・・・、おばあ様・・・」
「でも、まさか戦国時代の織田信長の元にいたとは思いもしなかったがな・・・。」
「本当よ・・・、いきなり居なくなって・・・」
二人は両側から歌恋を抱きしめた。
「それで、戻るのはどうしたら戻れるのかい?」
「それがわからないの・・・。でも多分ワームホールが現れるのは三ヶ月周期って向こうへ一緒にタイムスリップした友達が言ってたの。だから三ヶ月後なら3月の21日が一番有力だと思う。」
「でも戻れる保証はないの・・・」
歌恋が俯きながら呟く。
「それなら、その日にこの着物を着ていきなさい・・・。」
祖母が着物を持って歌恋にそれを渡した。
「えっ・・・でもそれは我が家の大事な家宝なんじゃ・・・」
「良いのよ。どうせ歌恋がお嫁に行ったらここには無くなるんだから」
「そうだよ。可愛い孫娘の晴れ着にぴったりじゃないか!向こうで祝言を挙げる時に着なさい…」
そう言った祖父母の顔は晴れ晴れしく、まよいは無かった…
「ありがとうぅっ。大好きよ、おじい様・・・おばあ様・・・」
「そうと決まったら歌恋の為に直さないと。」
祖母が張り切り出した。
「えっでもこれでも充分だよ・・・?」
この着物にはもう一つの言い伝えがあった。