第15章 叶わぬ思い~離れていてもあなたを愛しています~京都編②
〈歌恋夢の中視点〉
目を覚ますと懐かしい安土城の天守閣の天井が見えた。
「あれ・・・戦国時代に戻れたのかな…?」
周りを見渡すも信長の姿は無い。
陽も高いから寝坊しちゃったのかと起き上がろうとすると襖が開いた。
「目を覚ましたか歌恋。」
「信長様・・・!私どうしてここに・・・」
「お前が腹を抱えて倒れていたからここへ連れてきただけだ。」
ふと目をやると安土城でいつも着ていた夜着を着ていた。
「お腹の子は・・・っ!」
信長にしがみつくように聞く。
「大丈夫だ。問題無い。腹の子に触るから寝ておけ。」
「おっ、歌恋目を覚ましたか!」
政宗がお重を持って入ってきた。
「政宗さん、まだ絶対安静だから負担かけるような事しないで下さいよ・・・」
家康が政宗に釘をさす。
「政宗に家康?!」
「私もいますよ。」
三成が穏やかな顔で手には絵巻らしきものを持って入ってきた。
「三成くん!」
「秀吉様も時期にいらっしゃると思いますよ。」
「私戻ってこれたんだ・・・。」
「信長様・・・。私戻って来れたのですね・・・」
そう言って抱きしめようとすると視界が白く霞、信長の声だけが聞こえた。
信長「俺も秀吉達も待っている。早く目を覚ませ。」
背景がないのに人だけがハッキリしてきて、安土の武将達が次々と出てきた。
秀吉「そうだぞ、お前がいつでも戻って来れるように準備してるんだ。」
家康「身体、大事にしなよ・・・。戻ってきたら色々大変なんだから。」
政宗「お前の大好きなあんこたっぷりの草だんごや、きな粉のおはぎ作って待ってるから早く戻ってこい!」
光秀「戻ってきたらたっぷり遊んでやろう…くくっ」
三成「皆さん歌恋様のお帰りを待ってますよ。勿論この私もです。」
信長「お前と腹の子は必ず俺が守る。だから早く戻ってこい!」
「信長様・・・、みんな!」
そう言うと目を覚まし見慣れな天井が見えた。