第14章 叶わぬ思い~離れていてもあなたを愛しています~安土編②
〈秀吉目線〉
お館様は歌恋の事を心から愛しているのが最近ひしひしと伝わる。
あの日からお館様はほとんど眠らなくなった。
歌恋が褥で一緒に寝るようになってからは顔も幾分穏やかになり、人間らしくなったように思った。
それは俺だけじゃなく、光秀、政宗、家康も同じように思っていた。
そして、子を宿した事や祝言をあげると言った時のあの日、歌恋を見つめる瞳、気遣う一つ一つが今までに無く優しく、1人の男として歌恋を愛していると・・・。
その愛の深さに俺の思いなんて到底届かないと思った。
お館様をあそこまで変えた歌恋にむしろ今では感謝している。
『俺を死んだことにし、墓を作れ』ー
最初は無茶苦茶な・・・と思ったが、あの方は決めたことは絶対変えない。
それならば、信長様に捧げると決めたこの命。
だからこそ全力で支え、俺達も夢中にさせた歌恋を必ず取り戻すー
ただそれだけ、それだけかもしれないが、それでも俺はお館様のためならそれを実行するだけだと。