第14章 叶わぬ思い~離れていてもあなたを愛しています~安土編②
〈信長視点〉
歌恋がいなくなり二月。
あれから佐助を何度か呼びどうすれば戻ってこれるか調べさせていた。
佐助は歌恋と同じ500年後の未来から来た者。
「歌恋さんを巻き込んだのは俺のせいでもあるので・・・」とはいっていたがむしろ今は佐助に感謝したいほどだ。
そのおかげで歌恋という愛する者ができ、俺に様々な事を教えてくれた。
愛すると言うことがここまで大きなものか、俺だけでない、秀吉達までも変えた・・・。
そして歌恋のお腹には俺の子を宿している。
本来であれば歌恋の側にいて、一緒に子の成長を見守り、子が産まれてくるのを楽しみに待ちわびてるはずだった…、
“守る”と言ったが守れなかった…。それだけは変えられない事実。
俺は今まで悔やむ事などしたことが無い。戦においても全てにおいて。
ただ、これだけはそれ以外の言葉が当てはまらない。
だからこそ、俺が死んだことにしてでも歌恋が戻ってこれるならなんだってしようと・・・。
秀吉にだって城を任せよう。
今は謙信との戦いも無い。今回の一件で俺達が戦をする事になれば少なからず何らかの形で歴史を戻そうとする力が働くかもしれない。
そうなれば互いに命は無い・・・、そう佐助から話をきき、戦をするに値する理由ができた時に命を勿論掛けて戦うと。
それよりも今は愛しい歌恋が戻ってこれる方法を見つけ実戦するのみ。
歌恋・・・お前は今どうしているのだ。
早くお前の声を聞かせろ…、
お前の呆けたあの笑顔を見せろ…、
お前の細く壊れてしまいそうなあの身体を抱きしめさせろ…、
褥でお前が居ないと俺は眠ることすら出来ないでは無いか…