第2章 500年前の乱世と500年後の出会い
その日は秀吉が言っていたように、本能寺からさほど遠くないお寺で夜を明かし、陽が上がった頃に安土にむけて出発した。
手足を怪我したと聞いた信長様は私を抱き抱え、負担がかからないように馬に乗せて安土城まで連れていってくれた。
安土城に着くと、女中さん達が数人きて、着物を何着か持ってきてくれたり、湯浴みつまりお風呂に入るように言われたりとあっという間に時は過ぎた。
部屋も与えられ、なんだか申し訳ない気持ちになった。
ふと一息ついた頃、三成がやって来た。
「歌恋様、今大丈夫でしょうか。」
(あっこの声はたしか三成さんだよね?)
「どうぞー」
「失礼致しま…!」
「何と美しい!やはり貴女は天女様のような美しいお方です!」
「えっ…そんな風に言われても…天女でもないし、そんなに美しいって言われても…」
「いえ、貴女は本当に美しい!」
「本能寺で初めてお会いした時も美しいお方だと思いましたが、更に今は美しいです!」
(あはははは…石田三成ってこんなにも女の人に優しい人だったんだ(笑))
「それで、何か御用事ですか?私に。」
「あっそうでした。信長様がお支度が終わり次第、大広間へ来るようにどのことでしたのでお迎えにまいりました」
「信長様が?」
(なんだろう…。まぁでも色々と良くしてもらってるし、ちゃんとお礼も言わないと行けないから丁度よかった!)
「はい。この着物や家具一式は信長様より頂いたものになります。」
「そうなんですね!分かりました!支度と言っても特にやる事は無いですからこれから行っても大丈夫ですか?」
「はい。それでは…」
「待ってください。私、ここへは来たばかりで大広間がどこにあるのかわからないので一緒に行って頂けませんか?」
「そうでしたね。それは大変失礼致しました。私も、このような美しいお方と一緒に行けて嬉しいです。」
「それと、私には敬語など使わず、【三成】と呼んでください。」