第13章 叶わぬ思い~離れていてもあなたを愛しています~京都編
〈信長視点〉
一月一日。
安土でも正月ということで、宴が開かれていた。
大名達が新年の挨拶をしにくるが、俺は気のない返事をしているだけで、酒も手酌で飲むも味がしない。
(新年を祝う気などなれん。)
公にはあの日から歌恋は祝言の準備で国へ帰ったことにしている。
あの場にいた者には口外するなと言わずとも言わない。
よく出来た者だ。
夜夢を見た。
『お腹の子どもは今日も元気ですよ。』
そう言って愛しそうにお腹を撫でる歌恋の姿がいた。
手を伸ばすとそれは消えてしまう。
歌恋がいなくなってまだ6日。
この6日間寝た気がしなかった…。
タイムスリップする直前に「愛しています…」そう言って口付けをして、離れて行った歌恋の姿が頭から離れない。
今頃何をしているのだろうか…。
何もする気になれず、ある程度大名の挨拶が終わるとそのまま天守閣に戻った。