第13章 叶わぬ思い~離れていてもあなたを愛しています~京都編
年が明けて一月一日。
毎年近くの神社に初詣に行くが、妊娠している事と、雪が積もっていて危ないからと今年は行かない事にした。
お店では毎年恒例、お客さんやお店の人達が晴れ着を着て新年の挨拶に来る。
今年も参加するように言われた。
ただ、着物だけがいつもと違った…
朝一で持ってきた着物はタイムスリップしてきた時に着ていた着物だった。
「それ・・・」
「歌恋が戻ってきた時に着ていた着物、手入れしておいたよ…」
「大事な着物なんだろう?」
「うん・・・。ありがとうおじい様」
「歌恋が着物を着る時は本当に自分で着たいと思う時。だろう?」
「これね…、大事な人から貰った反物で作った着物なんだ・・・。」
「そうか・・・。さっ、着替えておいで。10時になったらお客さんが来るから。」
「分かった…ありがとう。」
久しぶりにあの時に着ていた着物を着る。
「今日も一日頑張ろうね!」
お腹に手を当てて子どもに話しかける。
ポコっ
お腹を蹴っているのか何とも不思議な感触がくる。
(信長様・・・、今日もお腹の子どもは元気ですよ。)
届かないとは分かっていても心の中で毎日信長に話しかけるようにしていた。