第13章 叶わぬ思い~離れていてもあなたを愛しています~京都編
「姫宮さんどうぞ」
産婦人科へ行き、お腹の子どもに異常が無いか診てもう。
産まれて初めての産婦人科。
旦那さんと一緒に来ている人も少なくない。
でもみんな私より歳上そうな人ばかり。
たしかに、現代では私の歳で子ども妊娠するの早い方だけど、戦国時代だと25過ぎたら遅いから嫁に行けないとか聞いた。
先生が、色々と質問してくる。
「そしたら、横になってエコーで赤ちゃんの様子を見てみましょう。」そう言われ初めてエコーを通じて赤ちゃんを見た。
『ドクンドクンドクン』
ハッキリと聞こえる心拍。
「ここが頭で、こっちが足ですよ。分かりますか…?」
(これが信長様と私の赤ちゃん・・・元気そうでよかった・・・)
唯一の繋がりとも言えるこの子を何としても守りたい。
あのワームホールにも、耐えてくれた。
「恐らく性別は・・・・・・ですね。」
病院での診察を終えての帰り道。
祖母が運転する車で新しく出来たショッピングモールへと行く。
「赤ちゃん元気でよかったわね。」
「うん・・・」
考えないようにしているけど、見るもの全てが信長様との思い出に見えてしまう。
「・・・様にも見せたかったな・・・」
多くは語らずにお腹に手を当てる歌恋。
それをミラー越しに見る祖母の顔は複雑な表情をしていた。