第13章 叶わぬ思い~離れていてもあなたを愛しています~京都編
次の日の朝、目が覚めるとまだ朝早い時間。
外を見ると雪がうっすら積もり始めていた。
「雪・・・?」
自分が何月何日にいるのか分からなかった。
ふと隣にある机に目を向けると、半年ぶりに見るスマホ。
そこには【12月28日】と表示されていた。
ーコンコン
部屋をノックする音が聞こえ、祖母が声を掛ける。
「歌恋起きてるのかい?」
「うん、起きてるよ・・・」
その声を聞いて、部屋に入ってきた。
「気分はどうだい?」
優しくちょっと皺が出てきた手で頭を撫でながら聞いてくる。
「うん、大丈夫。昨日は取り乱してごめんなさい。」
(心はまだ大丈夫じゃないけど…泣いても辛いし・・・)
「良いんだよ…、歌恋があれだけ大きな声で泣いたのは、両親が亡くなった時以来だったからね…」
(そう言えばそうかも・・・。)
「今日は、お腹の子どもが大丈夫かどうか診てもらいに行こう。」
「・・・」
「誰とは聞かないけど、大事な人の子どもなんでしょ?」
「うん・・・」
「だったら、なおのことみてもらっておかないと!」
「そうだね…」
おばあ様は何も聞かずにお腹の子どもの事を心配してくれた。
「ありがとう・・・おばあ様。」
おばあ様は歌恋の肩をポンと叩いて「母になるならしっかり食べないとだよ!」と言って、朝食を3人で食べようと言ってくれた。