第11章 叶わぬ思い~離れていてもあなたを愛しています~安土編
佐助が滞在して2日目。明日がその日になるであろうと言われているが、安土城は晴天。
時は師走の終わり。雪が積もってもおかしくない位だが、不気味な程ここ数日は天気がよかった。
「いよいよ明日か・・・」
秀吉がふとつぶやく。
「おいおいそれは言わない約束だろ?」
光秀が珍しく秀吉に諭す。
「そうだったな・・・」
「おいおいしんみりするなよ!俺達で歌恋は守るって決めた、そうだろ?」
政宗が秀吉の肩をポンと叩く。
念の為大広間には今日から2日間武将達以外人払いをし、食事も女中達に時間になったら大広間の手前の廊下まで運び、その先は自分達で用意することにした。
もし、歌恋になにかあったりしても戻ってくる場所を取っておくために・・・と。
「なんかいつも通りにしようって行ったのに、かえって気を使わせちゃったね・・・」
歌恋俯きながらも涙が今にも落ちそうになっていた。もしかしたら明日にはこうやって一緒に過ごすことが出来ないかもしれない・・・。
不安で押し潰されそうになる。でもここに居ると決めたんだからとにかくいつも通りにしようとおもった。
「信長様は・・・?」
家康がふと信長がいない事に気づく。
「佐助くんと二人で話しがしたいからって・・・」
「きっと、佐助様と二人で歌恋様をお守りする方法などをお話されているんですよ!」
三成が精一杯に励ます。
「三成、たまにはいいこと言うじゃないか!」
秀吉の顔が少し明るくなった。
「みんな・・・ありがとう。私忘れないよ。みんなとこうやって過ごせた事。」
政宗「おいおい、歌恋、お前は俺達で守るって言っただろ?」
秀吉「そうだ、何があってもお前を向こうに戻さない。だから心配するな?」
歌恋はもう涙が止まらなかった…。
(どうしよう・・・みんながかっこよすぎて、嬉し過ぎて涙が止まらないよ・・・。)