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王女様に祝福を【FFIX】

第5章 風車小屋に隠された秘密〜ダリ村〜




「あっ、お姫さま!」
 

水浴びから帰るとちょうどビビが起きた所だったようで、グッと伸ばした腕を下ろして金ピカの瞳がこちらを向いた。


「おはよう、ビビ……お姫さまって呼んだらバレちゃうよ」
 
「あっ、そっか……じゃあ、お姉ちゃん?」
 

小首を傾げて私のことをお姉ちゃんと呼ぶビビはかわいくて、

うんうんと頷きながらビビの頭を撫でると、金ピカの瞳をぱちくりさせて驚かれた。


「お、お姉ちゃん……なんか変わったね」
 
「えっ! そ、そうかな……?」
 

ギクリと私は撫でていた手を引っ込める。


「えっと、話し方とか皆を参考に変えてみたんだけど……似合わないかな?」
 

参考っていうか、まんま私なんだけど。

再び瞳をパチクリさせたビビはすごい勢いで首を振った。


「ううん、すごく似合ってるよ! 今までと少し違ってたから……でもそっか、喋り方を変えたんだね」
 

ビビにそう言ってもらえれば、皆の仲間入りを認めてもらえたようで嬉しい。

胸を撫で下ろした私は、

「そういえば……」

と話題を切り替える。

 
「この部屋を出た所にモーグリがいたよ」
 
「えっ、本当!? ボクちょっと行ってくる!」
 

瞳を輝かせたビビは、ベッドから飛び下りると一目散に扉の外へと出ていった。

バタンッと扉の閉まる音がすると、一気に静寂が訪れる。

 
『この村のモーグリとも仲良くなれるといいです……いいね』
 

ポツリと呟かれたダガーの声は、窓の外から流れるくぐもった子供の笑い声に乗って響いた。

外の景色を写し出す丸窓に視線をやると、元気そうな子供達が二、三人走り抜けていく。


再び部屋に視線を戻すと、四つのうちの一つ。

窓際のベッドでジタンが寝息を立てていた。

頬にかかる金髪が天窓から差し込む光に透けて、その端正な顔立ちを際立たせている。

まだ寝ているのはジタンだけ。

スタイナーはいつの間にか起きてどこかへ行ったみたいで、ベッドはもぬけの殻だ。


「私達も村を見に行こっか」
 

私がなんとはなしに呟くと、ダガーも楽しそうに頷いた。
 

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