第15章 ライバル宣言~マダイン・サリ~
ジタンside.
自分のふがいなさにもう一度ため息をつくと、隣からくすくすと笑い声が聞こえてきて思わず視線を向ける。
「あ、笑ってごめんね。でも、なんか珍しくて……ジタンでもこう、おちこむことってあるんだね」
「オレだって落ちこむときは落ちこむさ。かわいい子の前でかっこつかなかった時なんて特にな」
オレがかわいいという言葉を発した途端に、あからさまに動揺するレイナ。
「べつに……かっこわるくなんてなかったと思うけど……」
そういうと今度はレイナがオレから視線をそらした。
レイナはなぜかこういう言葉に弱い。
そんな見た目なら言われ慣れてるだろうに。
顔をそむけたことで再び彼女の銀髪が視界に入った。
さっきまで自分が落ち込んでいたことも露と忘れて、ふとレイナの困っている様子にいたずら心が沸いてしまう。
さらに誉め言葉を重ねたら彼女はどんな反応をするんだろう。
「やっぱり、オレはこの髪きれいだと思うぜ。だから、レイナは全然自信もっていいよ」
「……あ、ありがとう」
暗がりの中でも、レイナの頬が赤く染まっていく様が手に取るようにわかった。
いよいよ居心地の悪さを感じたのか、レイナはそわそわと視線をうろつかせる。
「えっと、そろそろ私寝るね。話聞いてくれてありがとう……!」
そんな言葉を残して、ついには慌ただしく建物に入っていってしまう。
去った彼女の背中にオレは名残惜しさを感じていた。