第5章 風車小屋に隠された秘密〜ダリ村〜
泊まった部屋からフロントに出ても宿の主人はいなくて、外に出てみるかと玄関の扉を開けるとすぐそこに昨日やり取りをした宿の男性がいた。
声をかけようとして……思いとどまる。
「……これで……ふふっ…………」
なんか怪しげな顔で笑ってる……怖っ!
若干引き気味で彼の挙動を見ていると、こちらに気づいたのか、彼は声を上げると頭を下げた。
「お客様、何かご用がおありで?」
ええっと、いつも通りの私の口調で喋っていいんだよね?
「えっと、水浴びできるところってありませんか?」
「それなら、当宿の裏手側にスペースがございますので、そちらを利用してもらえれば……」
よかった、こんな小さな宿でも水浴びスペースはあるみたいだね。
なんてちょっと失礼かな。
でも一部屋しかない宿とか聞いたことなかったし。
「では、ごゆっくり」
宿の中に戻っていく男の人を見届けてから、私達も宿の裏手側に回って行った。