第5章 風車小屋に隠された秘密〜ダリ村〜
天窓とは別の窓から差し込む、眩しい朝日が顔にかかる。
「ふぁあ~…………あ……」
ふわりとあくびをすると、自分が身体を動かしていることに気がついた。
グッグッと腕を伸ばす。
うん、やっぱり今は私が動かしてるみたいだ。
まだ身体の主導権が変わることには慣れない。
今回は睡眠をはさんでの交替で、今までのよりかは予想の範疇内ではあるけど。
そんなことを思っていると、頭の中から少し眠たげに挨拶をかけられた。
ダガーだ。
『……また入れ替わったようですね』
そうなんだよ、また入れ替わってるみたいなんだよ。
『なんだかコロコロ入れ替わると困りますね……でも王女であることを隠すのならば、レイナの方が都合がいいのかしら?』
確かに、ダガーはまだくだけた口調に慣れてないみたいだからねぇ。
私がからかうと、ダガーはムッとしたように喉を鳴らして、
『難しい……のよ』
と苦戦していることをまさに伝えてきた。
部屋を見回すとどうやら私達が一番に目覚めたようで、まだ皆それぞれの布団に潜り込んでいる。
『まだ皆さん寝ているようですね』
やっぱり固いダガーの口調にくすりと笑うと、あっ、とダガーが言い直す。
『まだ、みんな寝ている、みたい?』
うんうん、そんな感じ。
ふふっ、とお互い笑い合うと、私はベッドから立ち上がった。
さて、どうしようか。
せっかくだし村を見て回りたいけど……
『その前に、水浴びをしたいです……したいね!』
そうなんだよね、昨日はそのまま寝ちゃったから気持ち悪いし。
どこで浴びれるんだろう……
とりあえず、お宿の人を探してみようか。