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王女様に祝福を【FFIX】

第5章 風車小屋に隠された秘密〜ダリ村〜



中に入ると部屋の中央に天窓がついているらしく、夕方特有のオレンジがかった光が部屋に充満していた。
 
パチパチと暖炉の火が弾ける音。
 
なんか、いい雰囲気のお宿。


「寝てるのか?」
 
 
部屋の端に机と椅子が置かれていて、そこで男の人が腕を枕にうつ伏せている。
 
あの人がお宿の人だよね?
 
小さな村だし、お客もあんまり来ないのかな?
 
ジタンがトントンと机を鳴らすと、慌てて起き上がった。

 
「ああ、こりゃどうもすいませ……」
 
 
慌てて起きてペコリと頭を下げて、顔を上げたその男の人は驚きに目を見開く。
 
えっ、なになに。
 
まさかダガーがお姫さまだってばれた?
 

「おやじさん、かわいいからって見とれてもらっちゃ困るなぁ……」
 
 
ジタンがおちゃらかすと、男の人は慌てて手を振る。
 

「いっいえ、お嬢さんではなくて……あ、いやいや、部屋はその奥になります。どうぞどうぞ」
 
 
そう言って、宿泊場所を手で指した。
 
なんか慌ただしいなぁ、この人。
 
日本でそんな接客したら上司に怒られるよ?

まったくもう……。
 

そんなことを思っていると、戸惑うようにきょろきょろと視界が揺れた。

 
「あの……わたくしの泊まる部屋はどちらでしょうか?」
 
 
ああ確かに、それは気になるね。

いくら田舎だからって、一部屋しか泊まる場所がないってことはないだろうし。

 
「ん? そこだよ。みんなで泊まるんだ」
 
 
そのまさかだった。

 
「ジタン、わたくし男性の方との同室は……」
 
「気持ちはわかるけど、こんな小さな村の宿に個室なんてないんだ。さ、入った入った」
 
 
私がひどいカルチャーショックを受けている間に、一同は案内された部屋へと入っていった。
 
 


 
 
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