第5章 風車小屋に隠された秘密〜ダリ村〜
氷の洞窟から平原を歩き、森を抜け。
ようやく村に着いた頃には日も暮れかかっていた。
長時間歩きっぱなしでガーネット、じゃなくてダガーの身体も疲れが溜まっていて私もつらかったけど、それも城を出て初めての村と思うと吹き飛ぶ。
『うわぁ……』
平原の途中の集落のような村に着いて、初めに目に付いたもの。
まず建物の形が違う。
アレクサンドリアの城下町は国の首都みたいなものだからか、建物は中世ヨーロッパみたいなレンガ造りの屋根に土壁で。
まあそれはそれで趣きがあって私は好きだったけど、それでも地球人の私でも想像の範囲内というか、まあそこまでの驚きはなかった。
でもこの村は違う。
建物が半球体のドーム状になっている。
平原にポコッポコッといくつも半球体が顔を覗かせているのはなかなか壮観だ。
すごい、こんな形の建物、どこぞの芸術家が建てた博物館でしかお目にかかれないと思ってたけど、この村の人達は皆このドームに住んでるんだね。
これぞ文化の発展。
いやはや、すごい。
「わぁ~風車だ」
奥にあるドームのひとつにはてっぺんに風車が取り付けられていて、風の力でカラカラと音を立て回っている。
「ビビ、宿屋はこっちだぜ!」
「もう寝るの? ボク、風車を見に行きたいなぁ」
「気持ちはわかるけど、今は宿に入ろう。それに今後のことも決めなきゃな」
ジタンはそう言うと、村に入ってすぐ。
宿の看板が出ている建物の扉を押し開けた。