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王女様に祝福を【FFIX】

第4章 霧の上へ〜氷の洞窟〜





気づくと、身体の主導権が再び変わっていた。
 
今回は眠ったわけでも、意識を失ったわけでもない。
 
もはや立った状態で、ふとガーネットに主導権が移動した。

 
俯いていた顔が上がると、怪訝に思ったのか、皆が私に注目していた。
 
ジタンが代表して声をかけてくれる。
 

「ガーネット、本当に大丈夫なのか? さっきから突然ぼーっとしすぎだぜ? つらいなら無理せずそう言ってくれよ?」
 
「…………申し訳ありません、本当に大丈夫です。それで、わたくしの呼び名ですけれど……」
 
 
ガーネットがちらりと私のことを気にかけた。
 
反射的に、私は断りの文句を口にしていた。
 

『ごめん、やっぱり私の名前はやめよう』
 
『……でも』
 
『本当にごめんね、色々ごめん。でも、やっぱり私の名前にするのはダメだから……だから、ごめん』
 
『…………そうですか、レイナがそう言うのであれば……わかりました。別の名前を考えましょう』
 
『ありがとう、ガーネット』
 
 
そんな中、ジタンの手の中で光る物に視線が吸い寄せられる。

 
「……ジタン、それは何というのですか?」
 
 
ガーネットが尋ねると、ジタンは持っていた武器を見た。
 

「こいつかい? こいつはダガーっていうんだ」
 
「これはダガーというのですね……」
 
 
ジタンから受け取り、ダガーを太陽の光に透かす。

刃が光を反射して、ダガーの角度を変えるとその光が刃の上を滑っていく。

 
「姫さま! 小さくても武器、不用意に扱うと危険ですぞ!」
 
 
スタイナーの忠告もそこそこに、ガーネットはひとつ頷いた。
 

「決めました。わたくしはこれからダガーと名乗ります。これでどうかしら?」




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