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王女様に祝福を【FFIX】

第4章 霧の上へ〜氷の洞窟〜



自分の考えにため息をつきたくなるけど、今はそれどころじゃないと思い直す。
 
つまりは…………えーっと、ガーネットがお姫さまだってことを隠そうって話だったはずだ。
 

「確かに“ガーネット”ではいろいろと不便そうですね」
 
 
うん、呼び名は変えた方がいい。
 
さて、なんて名前にするかな……。
 

そう考えていた時。
 
ガーネットの提案は唐突にやってきた。
 

『レイナ……という名前にすればよろしいのではないですか?』


心が揺さぶられた。

心臓が飛び出るかと思って、思わず左胸を押さえる。

そのくらいの衝撃。
 

ちょっと、ガーネット……

自分がなに言ってるかわかってるの?
 

バクバクする胸を必死に、押さえる、抑える。

 
『……わかってます。でもここまで来れたのだってレイナのおかげですし、だから……』

 
そんなことはない、絶対に。

私なんていなくても、ガーネットならここまで来れた。
 
そう確信するほど、私は別に何もやってないと断言できる。
 
 
ほんと心臓うるさい。
 
ああ、嫌だ。
 
自分の名前で呼ばれることに、少しでも期待してしまった自分がいる。
 
 
この感情、全部ガーネットにバレてるんだ。

最悪だ。
 
私、ほんと最悪だ。


『…………レイナ』
 
 
ガーネットの困惑したような声が響く。
 
落ち着け、私。
 
そう自分に言い聞かせるけど、一度高鳴った心臓はなかなか収まってくれそうになくて。
 
自分の中にある気持ちが、ただひたすらに恥ずかしい。
 
それをガーネットに知られていることが、たまらなく恥ずかしい。
 
こんな感情消えてほしい。


消えて。

消えて。

消えて。
 

そう願うと、私の心を波立たせていた気持ちはだんだんと静まっていく気がした。
 
よかった。
 
そのまま自分の意識さえも閉ざされていくとは知らず、私はただ自分の滑稽な感情が収まったことに安堵していた。






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