• テキストサイズ

王女様に祝福を【FFIX】

第4章 霧の上へ〜氷の洞窟〜





私は再び夢を見ているようだった。


着慣れた制服を身に纏い、木製の椅子に座って木製の机に腕を乗せている。

今は休み時間なのか、クラス中がガヤガヤと騒がしい。


そんな中、ふわりと私のすぐ側を、甘い香りと共に短いプリーツスカートが横切った。


「やだ、なにそれウケる」


なびいたスカートは男子生徒数人でできた輪の前で止まり、時折生まれる笑いにのってゆらゆらと揺らめく。

そんな彼らのことをしばらく見ていたからか、男子生徒の一人と目が合った。


数秒合わさって、


すぐに目の前の女に戻される。


私もそらすと周りに視線を巡らした。

すぐに見知った友人達を見つけて、ほっと息をつく。


立ち上がって声をかけるけど、話に夢中なのか気づいてくれない。

近くまでいって、再び呼びかけるけど誰も気づいてくれないので、一番近くにいた友人の肩を触ろうとして。



「えっ?」



私の手は、友人の身体をすり抜けた。


ふいに広がる暗闇。


吸い込まれ落ちていく身体を捻ると、なびく髪の隙間から、友人達の笑い声がぼんやりとした明るさを伴って見えたが。


それは急速に離れていって、やがて消えてなくなった。



内臓が浮くほどのスピードで落ちる感覚に、


乱暴に向かってくる風に、


ドクドクと心臓が打ち鳴る。




この感覚、知ってる。




ふいに溢れた光に飲み込まれ、意識が朦朧としてきて、



そして…………




思い出した。
 




 
私、もう死んでるんだっけ。






「────めさま、姫さま?」
 


身体を揺り動かされ、急激に現実へと引き戻された私は、横たわっていた氷の冷たさに驚く。


「……ガーネット?」
 

気づくと、見知った三人がこちらを覗き込んでいた。


……そっか私、今はガーネットなのか。


身体を起こそうと上半身に力を入れようとしたけど、なぜかうまくいかない。

焦る気持ちとは裏腹に、意外にもすんなり身体は起き上がって。


そして────



「皆さん……無事だったのですね」



私の意思とは関係なしに、口が、勝手に言葉をつむいだ。





/ 389ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp