第1章 はじまり
「……」
死ぬはずだった私が、ガーネットさんの身体を乗っ取っちゃったんじゃないかな……。
胸の内にものすごい罪悪感が広がる。
私の考えてることは、ガーネットさんにも伝わってるはずで。
『……』
ガーネットさんは黙り込んでしまった。
そりゃあ、そうだよね。
昨日までなに不自由なく自分の身体を動かせたのに、こんな私が入り込んできて、あまつさえ身体の主導権を奪うとか、うわ、まじで私何なの。
嫌悪感に私は髪の毛を掻きむしりたくなったけど、この身体はガーネットさんの物で、ガーネットさんの美しい艶やかな黒髪を掻きむしるとか、それこそありえないので心の中に留めた。
『いえ、レイナのせいではないわ。おそらく、わたくしたちはそのような運命だったのでしょう』
静かに、ガーネットさんは話し始めた。
『レイナの感情は手に取るように分かってしまいます。わたくしには嘘、つけませんわね。レイナがわたくしに対して申し訳なく思っている気持ちが伝わってくるのです。だから……あまり気になさらないで』
……ガーネットさん、いい人すぎだよ。
こんな私を許してくれるなんて、あまつさえ私の心配までするなんて。
決めた。
ここがどこかなんて関係ない。
私はガーネットさんのために生きる。
そんでもって、いつかこの身体をガーネットさんに返すんだ。
『……ありがとうございます、レイナ』
ガーネットさんが言うお礼の言葉に、私が少しうるっとしてしまったのは秘密だ。
あっ、嘘つけないんだった。
ガーネットさんがくすりと笑う。