第1章 はじまり
料理に思う存分舌鼓を打ち終えた私に、誰かが声をかけてくる。
『レイナ、レイナ!』
あれ、この部屋には誰もいないと思ってたけど。
きょろきょろと周りを見回して、やっぱり誰もいない。
『レイナ、わたくし、ガーネットです』
「えっ、ガーネットさん!?」
驚いて声の出どころを探ろうとしたけど、やっぱりどこにも誰も見あたらない。
『どうやら現在、わたくしとレイナでこの身体を共有している状態のようなのです』
ガーネットさんの声は、どうやら私の頭の中で響いていたらしい。
共有している、とはどういうことなのだろうか。
私は身体を動かしてみた。
うん、思ったように動く。
「ガーネットさんは、今どういう感じなの?」
『おそらく、レイナと同じ視点で景色が見えています。ただ、身体は動かせません。それと、レイナの考えてることが分かります』
おおう、私の考えてることが伝わってるとか。
なにそれ、めちゃめちゃ恥ずかしい。
『とても可愛らしいですよ』
くすりとガーネットさんが笑った、気がした。
えーっと、じゃあ私が声を出さなくても会話できるってこと?
『ええ、まだ分からないことは多いですけれど、とりあえずお互いの意識は消えてなくて安心しましたね』
うん、そうだね。
ていうか、これって……