第4章 霧の上へ〜氷の洞窟〜
「ほんならクポの実やるわ」
どっかりと座って食事の準備をするジタン達に、モーグリがなにやら木の実を差し出す。
私も受け取った木の実を恐る恐る齧ってみると、今まで食べたことがないような不思議な味がした。
「あの……キミはなんて言う名前なの?」
声の方に視線をやると、ビビが何度も帽子を触りながら、緊張した面持ちでモーグリに話しかけていた。
「俺か? 俺はモイスいうねん。あんさんはなんて名前なんや? なんや珍しい見た目しとるな」
「えっと……ボクは、ビビ……モイスこそ変わった喋り方してるね」
「そおか? そない気にしたことないけどな」
ビビはあっちこっちに視線をうろつかせて、またモーグリ、モイスに視線を合わせた。
「えっと……モイスはずっとここに住んでるの?」
「そうやで! せや! 思い出したわ! ちょっと前にな、ここに羽根の生えたやつが来よって、俺のことおもいっきり氷漬けにしていきよってん。思い出したらなんか腹たってきたわ!!」
「羽根の生えたやつ?」
ちょうど焚き火を作り終わったジタンが会話に入ってくる。
「せや、ちょうどビビみたいな帽子かぶっとったな」